徒然エッセイ 第12話 すこぶる元気! 超高齢女性大御所作家
徒然エッセイ 第12話 すこぶる元気! 超高齢「女流大御所作家」
気のせいなのか、超高齢の女性作家がすこぶるお元気で、感服するばかりだ。日本人の平均寿命は女性が男性より六歳以上長生きなので、当然の帰結なのか。シェークスピアのハムレットをもじれば「強きものよ、汝の名は大御所女流作家なり」か。
<佐藤愛子さん>
二〇一七年の年間通してのベストセラー本は佐藤愛子さんの「90歳何がめでたい」。「活字離れ」が囁かれる中、百万部を軽く超えたのだから驚きだ。佐藤さん自身は本のタイトルよりも年長の九四歳。「年なんてもはやたいした問題ではない」と言い切る。エッセイは年齢を全く感じさせない。小気味よく世相を斬っているのが逞しい。
<瀬戸内寂聴さん>
瀬戸内寂聴さんが二〇一七年度朝日賞に輝いた。瀬戸内さんは、一八年五月一五日で九六歳に。四百以上の著作があるとか。「長く生きるとは思っていませんでした。賞を頂き『また、生きなきゃならないかな』と思っています」(朝日新聞二月一日)。
「いつ死んでもいい」とは口にされながら、最近も長編小説「いのち」を上梓した。大病を乗り越え、老いと向き合い、女の命を見つめる自伝的小説だ。
瀬戸内さんの秘書・瀬尾まなほさんが「おちゃめに100歳!寂聴さん」を出版したが、寂聴さん、百歳のハードルのクリアは難しくなさそうだ。
<橋田壽賀子さん>
橋田壽賀子さん。九十二歳。脚本家。一昔前だが「おしん」はあまりに有名、最近では「安楽死で死なせてください」を出版。「もう書きたいものがなくなった」とおっしゃっても「渡る世間は鬼ばかり」のワタオニファンは次作を待っている。
<曽野綾子さん>
曽野綾子さん。八十六歳。作家、保守派の論客として「世論」を気にせず、堂々と「自論」を展開してきた。近年、静かだと思っていたら、作家で夫の三浦朱門さんを自宅で介護していた。三浦さんが九十一歳で亡くなると「夫の後始末」を出版、すさまじい介護の闘いを克明に綴っている。「夫が先でよかった」は最高の愛の表現か。「この世を辞退する覚悟で品位ある生き方を説く」として「人生の引き際」も出版した。
<黒柳徹子さん>
少しジャンルは異なるが黒柳徹子さん。八十四歳。司会者、タレント、エッセイスト・・。「徹子の部屋」はテレビ朝日の前身の「日本教育テレビ」(NET)時代の一九七六年から四十年以上続くウルトラ超長寿トーク番組。放送一万回を超え、記録更新中。お元気な徹子さんの巧みなインタビューなくしてできない記録だ。
<塩野七生さん>
塩野七生さん。長編大作「ローマ人の物語」全十五巻に続き、「ギリシャ人の物語」全三巻が完結した。少しお若く?八十歳。大作の間も旺盛な執筆を続け、「逆襲される文明」で、ローマから見た視点で日本社会に鋭くえぐっている。
<阿川佐和子さん>
こんな超大御所に比べると超ロングセラー「聞く力」の阿川佐和子さん(六四)などはまだまだ「お若い」。ただ、もの静な中に揺るがない芯を見える。
<五木寛之さん>
さて男性では誰?五木寛之さんが健在。八十五歳。近作は「健康という病」「孤独のすすめ」という一見重たそうなタイトル。五木流で生きるエネルギーを与えてくれる。ほかに男性作家は?と作家一覧をチェックした。この人は?と思う人は、八十歳前に亡くなっている人が多い。また、存命中でも書き続けていない人が多い。保守の論客は七八歳で自死してしまった。
「嗚呼(あァ)弱きもの、汝の名は男どもたちよ」
超高齢女性大御所作家に共通するのは「思うところを容赦なく書いており、世間におもねることがない。それが精神衛生上、元気の源なのか」。いやいや長い人生の中で悩みを乗り越え、自らを鍛錬してきたたからこそ、心身ともに強靭でいられるのか・・。
平均寿命も健康寿命も女性の方が男性より長く、生命力が強いことは統計が証明する。「嗚呼(あァ)弱きもの、汝の名は男どもたちよ」か。シェークスピアの「ハムレット」の裏返しである。
(自由待夢)
リベラルタイム2018年5月号より

イラスト・山下一徳
| コメント (0)






「リベラルタイム」