徒然エッセイ第35話 誰でもできるSDGs 3015運動
最近、大手企業の経営陣、管理職は、決まって背広の襟元に丸い円状のカラフルなバッジを付けています。SDGsバッジです。「ウチの会社はSDGsキャンペーンに参加しています」とさりげなくPRしているのです。「地球環境保全等に理解ある会社」をアピールすることで、企業のイメージアップに繋がることを狙っているのです。ただ、そんなに格好をつけてバッジをひけらかさなくても、私達誰でもが今日からでも取り組めるSDGs運動があります。
<SDGsとは>
イメージだけが先行しているSDGsとはそもそも何なのか。わかっているようでわかっていないので、おさらいしましょう。 SDGsはSustainable Development Goalsの頭文字で、日本語では「持続可能な開発目標」です。二〇一五年の国際連合サミットで採択されたもので、加盟国百九十三カ国が三〇年までの十五年間に貧困や環境、教育等の国際社会の課題を解決しようという取り組みです。十七の分野があり、その中に百六十九の個別行動目標が定められ、目標が複数あるのでSDGsと複数を示す小文字のsが付いているのです。
国だけでなく、各国の企業、団体等にも参加を求めています。バッジが十七色で彩られ、カラフルなのは十七の分野からきているのです。スタートから五年が経過しましたが、最近、気候変動問題に国際的関心が高まり、昨年秋の国連のSDGsサミットで「あるべき姿からはまだ遠い」と危機感が表明されたため、改めて関心が集まり、バッジのラッシュになっているのです。
<3015運動>
ここまで説明してもまだ、何か難しく、堅苦しく感じますが、そんなことはありません。誰でもがすぐにでも取り組める例があります。その一つが目標十二の「つくる責任、つかう責任」の中の「一人当たりの食料廃棄を半減する」という個別目標です。
具体例を紹介しましょう。三〇一五(さんまるいちご)運動です。富山県で行われている運動で、県の最高峰・立山の標高三〇一五mにちなんでいます。「食べきり三〇一五」と「使いきり三〇一五」の二つのパターンがあります。「食べきり」は「宴会では最初の三十分は席を立たずに料理を味わい、終了前の十五分で食べきろう」という呼びかけです。これは、地方では着席の宴会でも、乾杯が終わるとすぐに自分の席を離れてお酒のつぎ合いとなるために、料理が残され廃棄されることが多いので、最初と最後ぐらいは料理を楽しみ、食品ロスを削減しようというのです。
「使いきり三〇一五」は毎月三十日と十五日には自宅の冷蔵庫の中をチェックし、期限切れが近い食材を使い切ろうという呼びかけです。冷蔵庫をチェックする日を決めておき、うっかりによる期限切れでの食品ロスをなくそうというのです。 また、徳島県上板町では、小学校と地元のJA(農業協同組合)が協力、形が悪かったり、小さくて流通に適さないニンジンやブロッコリーを子ども達が収穫し、工場で加工してもらっています。それが町内の幼稚園や小中学校の給食に利用されるという、地産地消の食材教育運動になっているのです。
<食品ロスの45%は家庭から>
日本では年間六〇〇万t以上が食品ロスとして廃棄されており、毎日一人ひとりが茶碗一杯分の食べ物を捨てていることになるのです。四五%が家庭から廃棄されています。食品ロスはコメの消費量の約八〇〇万tに近く、世界が途上国に食料援助している量の二倍近くに達します。
近年、コンビニエンスストアでは、クリスマスケーキや恵方巻を予約制にして売れ残りを少なくしたり、消費期限が近い弁当やおにぎりを値引き販売する取り組みも始まっています。 そもそも賞味期限と消費期限に関する意識改革や、冷蔵庫の中もチェックせず「安いから買った」という衝動買い、子どもに対する「食べ残しの教育」等、家庭でできるSDGsは数多くあるはずです。
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