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2022年11月

2022年11月28日 (月)

徒然エッセイ第68話 リーダーの選び方選ばれ方

 この連載ブログ「徒然エッセイ」第65話で、「待たれるポスト・プーチン」「つるフサの法則は続く?」というタイトルのコラムを書いた。ソ連・ロシアのリーダーはレーニン(頭がつるつる)→スターリン(髪がフサフサ)から始まり、フルシチョフ(つる)→ブレジネフ(フサ)、ゴルバチョフ(つる)→エリツィン(フサ)→プーチン(つる)という不可思議な偶然?の歴史を指摘し、「もう、つるフサの法則などどうでもよい。早くプーチンを取り替えて」というアネククドート(風刺の小話)を紹介した。

 すると私の手元に一冊の本が送られてきた。「紳士の品格3」(日本財団・笹川陽平会長、PHP)である。すこぶる面白いので要旨を引用する。「まえがき」にこうある。「ユーモア」はイギリスで発達し、会話で相手を和ませる役割がある。「ウィット」はトンチ、漫才師が多用する。「ジョーク」は聞き手や読み手を笑わせたり、ユーモアを感じさせる小話。フランス語の「エスプリ」は知的で批判精神に富んだ軽妙洒脱な言葉を当意即妙に述べる才能。「アネクドート」は旧ソ連で発達した政治風刺の小話。

 本文冒頭の「世界各国の選挙事情」がまた何ともユニークなので、引用を続けたい。

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 世界の選挙事情のあれこれ

 アメリカ人が自慢げに言った。「我々は午前中に投票して夕方には誰が大統領に当選するかわかる」。中国人が淡々と言った。「我々は今日投票しているが、一年前には誰が国家主席になるかは知っていた」。 北朝鮮人が言った。「我々は投票しなくとも小さい時から誰が首領になるかを知っていた」。日本人が漫然としたているが、誰が首相になるのかなかなかわからない」。ロシア人が言った。「我々の国では大統領が疲れたら首相に、首相に飽きたら再び大統領になる」。キューバ人が困惑そうに小声で聞いた。「国の指導者は交代できるものだろうか」。

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 いちいち、膝を叩いて高笑いの連続だった。2022年は多くの国でリーダーが交替した。韓国、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、そしてイスラエル、ブラジルも。ヨーロッパではイタリアも。イギリスに至っては史上最短で2交替。

 そんな中、中国では定年規程はどこへやら習近平国家主席が3選し、5年後の4期目も狙っているとか。中国国内ではネットやスマホは党・国家の監視下にあり、人は心の内を口にすることができない。「沈黙は金」なのか・・・。

 ウクライナ侵攻の主犯者のロシア・プーチン大統領は憲法で任期6年2期まで2024年で終わりのはずだった。しかし、憲法を改正して制限を撤廃、再選されれば36年まで大統領の座に居座り続けることが可能になった。

 国のリーダーが何年も前から決まっていることに不気味さを感ぜざるを得ない。わが国では岸田内閣の支持率が低迷し、自民党内では早くも「政局」という名の「岸田首相G7広島サミット花道論」まで聞かれ出した。しかし、過去30年近くの間に日本の国力が停滞したのは平均2年半という短命政権が続いたことと無縁ではない。誰もかつてのイタリア、最近のイギリスを笑えない。

萎れた菊に水を
 「舞い上がるワシ」(アメリカ)、「吠える龍」(中国)に対し、「さまよえる熊」(ロシア)、萎れる菊(日本)と言われる。しかし、菊は萎れていても、まだ枯れてはいない。ポスト岸田を詮索する前に、今は菊に水と肥料をくべる時ではないか。

 ただ、こんな話題を居酒屋で自由に語ることができるのも日本社会の健全さの証しなのかもしれない。

1_20221128112401  イラスト・櫻井砂冬美

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2022年11月 4日 (金)

徒然エッセイ第67話 どうしても2030札幌冬季五輪なのか?

 東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件の捜査が留まるところを知らない。底なし沼と言ってよい状況だ。紳士服「AOKI」から始まり、出版の「KADOKAWA」に繋がり、疑惑の捜査は4ルートに広がり、オリンピックで子ども達の人気を集めたマスコットキャラクターの販売までもが恥辱まみれだ。そんな中でも北海道・札幌市は「2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会」の招致を目指すという。全国的にはほとんど無関心なのに加え、肝心の地元でも盛り上がりに欠いている。しかし、それでも招致関係者はた突き進むだけで、誰も立ち停まろうとしない。

東京五輪と北京冬季五輪のマイナスイメージ

 札幌市内の地下鉄の駅で聴き覚えのあるBGMが流れている。半世紀前、1972年の前回、札幌冬季オリンピックの際に大ブレイクした「虹と雪のバラード」だという。「あの時」を知る高齢者なら「トワ・エ・モア」の清楚なデュエットを思い出すだろう。また、札幌の街中には「2030ひとも、まちも、次のステージへ。」とのポスターが溢れている。2030札幌冬季オリンピックの招致活動のプロモーション活動だ。

 正直いって国民はいま、「オリンピック」そのものにパッションを感じていない。というか冷めた目で見ている。開催直前までゴタゴタ続きのうえ、コロナ禍で世論の賛否が分かれる中、無観客開催となった東京オリンピックの「負の遺産」が記憶に残っている。北京冬季オリンピック・パラリンピックにいたっては、中国の習近平国家主席が、ドーピング問題で国として参加が認められていないはずのロシアのプーチン大統領を開会式に招いた。そして中露首脳会談の4日後、ロシアはウクライナ侵攻という暴挙に踏み切った。「中国がウクライナ侵攻に黙示の承認を与えた」との疑念は根強い。「オリンピックの政治利用ここに極まれりだ。習近平とプーチンがオリンピックを政治的に乗っ取り、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が平和の祭典のはずの五輪をビジネスとして売り渡した」とまで酷評された。

北海道・札幌が盛り上がらない

 そのうえ、秋になり、東京オリンピックが汚職まみれだったことが東京地検特捜部の捜査で白日の下に晒された。特にマスコットの「ミライトワ」の販売にまで汚職の手が及んでいたとなっては、この「ミライトわ」が全国の小学生の投票で決まった経緯があるだけに、子ども達に説明のしようがない。

 野村総合研究所が北京冬季オリンピック閉幕直後に、札幌冬季五輪の招致に関して行った世論調査がある。北海道内では「ぜひ開催」と「できれば開催」の合計が二八%、「絶対開催してほしくない」「できれば開催してほしくない」が三八%だった。『朝日新聞』の九月上旬の調査でも、全国での招致賛成よりも地元での賛成が低いという同じ傾向が表れた。しかもこれらは汚職事件捜査が広がる前の調査だ。札幌市の関係者は「今、調査をするとひどいことになりかねず、恐ろしくてやれない」とまで嘆く。

 札幌市の秋元克広市長は「クリーンな大会に変えていくことを国民、市民に約束する」と「宣誓文」を公表したが、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「大変厳しい状況だ」と逆風下の招致を率直に認める。東京オリンピック組織委員会会長を務めた橋本聖子参院議員は「東京五輪の捜査で多大なご迷惑をおかけしている」とお詫びするばかりだ。

 2030冬季オリンピックには、アメリカのソルトレイクシティやカナダのバンクーバーも招致の動きを見せている。IOCでは当初、年内に候補地を絞り込み、2023年6月のインドでの総会で30年開催地を正式決定する運びだった。それに向け秋元市長と山下会長が「札幌の熱意」を伝えるためにスイスのIOC本部でバッハ会長との会談を申し込み、一旦はセットされたが、IOC側からキャンセルの通告があり、正式決定の場だったIOC総会も23年秋に延期されてしまった。

「東京」から冷や水を浴びせられ、地元でも冷ややかな空気が根強い中で、それでも招致へと突き進むのか。大会は札幌の他、帯広市、ニセコ地区、ボブスレー等は長野県長野市で行い、「極力既存施設を活用して、開催経費は最大三千億円」と理解を求めようとするが、東京オリンピックの開催経費総額は立候補時(12年)の見積りの2倍近い1兆4千億円に膨らんだだけに、信用する向きは少ない。

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