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2024年9月

2024年9月 2日 (月)

第99話 謹啓 米大統領選激戦州の皆さまへ

 この「徒然エッセイ」の第90話を検索し、読んで頂きたい。見出しにあるように「謹啓 バイデン大統領」と手紙の形をとりながら、現職のバイデン大統領に米大統領選(十一月五日)への出馬断念を懇請している。私が一月の時点で書いた原稿です。

「大統領選でトランプ前大統領が当選でもしたならば、世界の大混乱は必定」だと憂慮し、「早期に民主党の新進気鋭の候補に挑戦の機会を譲り、トランプ時代の再来を阻止してほしい」と、出馬断念を迫っています。「今年の米大統領選は老老対決だ」と揶揄し、「仮に現職大統領として任期満了まで大統領職を続けられても本選挙の候補者としてハードな選挙戦を戦い続けられるか心配だ」と非礼を覚悟で、「撤退」を求めています。

 あれから半年余、ようやくバイデン大統領は撤退を決断してくれました。民主党の候補はカマラ・ハリス副大統領に決まりました。バイデン氏の「撤退」について、現職大統領の再選出馬断念としては「一九六八年のジョンソン大統領以来」との報道が多い。これは半分正しいが、半分は間違いといえます。ジョンソン氏は民主党の予備選挙の佳境である三月の「スーパーチューズデー」直後に断念しました。バイデン氏は各州予備選挙が終わり、大統領候補として確定し、トランプ氏と一回目の討論会で失態した後での“苦渋の決断”でした。正直いって私には「遅きに失した」感が強いです。それでもトランプ氏再選阻止の可能性に賭けた決断は評価したいものです。

 米大統領選は形式的には各州で選挙人を選ぶ間接選挙です。メイン州とネブラスカ州を除けば、得票が一票でも多ければその州の選挙人を総取りできる制度なのです。この20数年、アメリカ社会は中南部は共和党(赤色)、北東部やニューヨーク、カリフォルニア州等は民主党(青色)と支持基盤が固定化されているのです。データに寄れは1988年の大統領選以来、その州として一度も選挙結果が変わらない「固定州」は20州に及びます。そこで接戦州(赤でも青でもない紫色)といわれる七州が選挙結果を決めるとされ、今回は特に最大の激戦州とされるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州がカギを握っています。この3州は2016年にはトランプ勝利に貢献し、20年にはバイデン勝利を選択している。3州の選択が全体の結果になってきました。

 そこで接戦州の有権者に申し上げたいのです。「世界に大きな影響力を持つアメリカ大統領を決めるのは事実上、皆様方です。トランプ時代の4年を検証してみてください」。トランプ氏は「地球温暖化等、証拠がない」とパリ協定から脱退しました。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からも離脱しました。イラン核合意も脱退、ロシアとの中距離核戦力(INF)条約も機能停止にしました。一貫して「世界の壊し屋」でした。今はウクライナへの軍事支援を当選したらすぐに止めると主張、パレスチナ問題では徹底してイスラエル寄りです。ヨーロッパ、東アジアでも国際協調には全く意に介さず、一にも二にも「アメリカファースト」です。トランプ氏が主張する60%もの関税は中国だけでなく、各国への関税の一律アップは世界経済を収縮させ、それはアメリカ経済をも停滞させます。何より4件91の罪状に起訴されている被告人であることを忘れないで下さい。

「トランプ時代の再来」はアメリカ社会の分断をさらに加速させ、国際秩序を大混乱させるだけです。品のないトランプ節を単なる「選挙中のブラフ」等と侮ってはなりません。万々一、彼が大統領に返り咲いたら、一期目と違いホワイトハウスや閣僚には完全にイエスマンばかりを配置し、誰もブレーキを掛けられなくなるでしょう。一期目は健在だった「安倍晋三」というなだめ役も見当たりません。「アメリカファーストではなく、トランプファースト」になること必定です。

 ハリス民主党候補の実績に不安を抱く人もいるでしょう。しかし、民主主義国では選挙は「よりましな選択」を行う作業です。ベストでなくてもベターを選択してください。どうか、接戦州の有権者の皆様、あなた方の一票、一票がアメリカのリーダー、世界のリーダーを決めるという考えに立って思慮深い選択をされるよう、太平洋を挟んだ日本から切望しています。

 

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